消費増税への今国会のやり方は国民を愚弄し尽くしている。民主、自民、公明の3党で何を合意したのか、彼らが合意の駆け引きに使ったどうでもいい細かいことをすべて剥ぎ取ると真実が見えてくる。
つまり、次の衆院選でこの3党のうち、どの党が政権を取っても権力者として消費増税の恩恵に浴せるということである。机上の計算によれば13兆円もの新たな税金を権力者の判断で“ばらまける”。しかも、「国民の信任を得た」という大義名分までついて。
7兆円以上の払いすぎ年金を減額する気は全くなし
これを国民を愚弄する談合と呼ばずして何と呼ぶのか。国民生活など彼らの眼中には全くないのだろう。自分たちが権力の椅子取りゲームで有利になればいいだけだ。
例えばデフレが続いているために、国は年金などの社会保障費を必要以上に払い続けている。その額は昨年末の段階で7兆円にも及ぶと厚生労働省が試算している。
このままのデフレが続けばインフレを前提とした社会保障費は本来支払うべき額よりも毎年1兆円以上多く払い続けることになる。
しかし、政府はこんな試算があっても減額を「検討している」とするだけ。本気で減らす気があるとは全く思えない。増税にはあれだけ熱心なのに不思議である。
いや、実は不思議でも何でもない。理由は明確なのだ。大きい政府の方が権力を持った政治家と官僚に心地良いからである。「大きく集めて大きくばらまく」。これが権力の源泉である。政府が肥大化すれば官僚の天下り先も多くなる。
消費増税が議論される過程で、年金などの減額が本気で議論されただろうか。若者たちの負担を減らすと言うなら、まずこちらが先だろう。
それができずに、何で若者世代の負担軽減が大義名分なのか。
今回の3党合意からはっきりと透けて見えるもう1点は、票を持ったお年寄りへの媚である。団塊の世代が引退し始めて、彼ら“既得権政党”の票田は大きく拡大した。さらに彼らは若者よりもはるかに選挙に熱心なので、彼らの歓心を買うことは焦眉の急だ。