かねて報じられていた通り米グーグルは22日、米モトローラ・モビリティ・ホールディングスの買収手続きを完了したと発表した。
創業以来ネット検索を中心にソフトウエア事業を展開してきたグーグルだが、新たにハードウエア事業を傘下に抱え、同社にとってこれまで経験したことのない事業体制がスタートした。
グーグルはモトローラ・モビリティを独立事業として運営し、モバイル基本ソフト(OS)「アンドロイド(Android)」も従来通り韓国サムスン電子などの端末メーカーに供給する。モトローラ・モビリティもそのライセンシーの1社としてアンドロイド端末の開発を続けることになる。
しかしモトローラ・モビリティの世界携帯電話市場におけるシェアは現在8位。グーグルは同事業の立て直しのほか、サムスンや台湾HTCなどアンドロイド端末メーカーとの関係維持、さらに最大のライバルである米アップルとの市場競争にも対処しなければならず、経営陣には難しい舵取りが必要になりそうだ。
端末メーカーの懸念、払拭へ
この買収によりグーグルは申請中のものも含め合計2万5000件の特許を手に入れた。モバイル市場では、熾烈な競争が繰り広げられており、ライバル同士の法廷闘争が相次いでいる。そうした中、グーグルは特許資産を強化しアンドロイドを訴訟から守ろうとしている。
このグーグルの狙いを受け、サムスンやソニー、韓国LGエレクトロニクスなどの端末メーカーは当初この買収を歓迎していた。しかし米ウォールストリート・ジャーナルによると、買収計画が次第に現実味を帯びるにつれ、メーカー各社は懸念を抱くようになった。
グーグルが子会社のモトローラに優先的にアンドロイドを提供するのではないかと心配したのだ。そこでグーグルは最近になって方針転換の意向を示した。これまで同社は、OS新版の正式リリース前に、まず早期バージョンをモトローラなどの特定のメーカーに提供していた。