満足度が減っていくもの(その1)セックスの満足度
結婚生活の中で繰り返し消費するもので、最も満足度が減少していくものは、夫婦間のセックスです。
最初のセックスはいつだったのか知りませんが、最初に愛し合ったときは、天にも昇る高揚感が生じたはずです。愛を確かめ合うことやお互いの性感帯を刺激し合うことでしばらくは充実したはずです。
ところが最初のうちの高揚感は、10回、50回と回数が増えるうちに減少していったのではないでしょうか。満足度の総量は増えるにしても、1回ごとの限界効用は徐々に減少していったはずです。
セックスの主導権は通常は男が握ります。男が都合のいいような形で愛し合い方も決定されます。最も端的に表れる満足度の指標は、セックスにかけた時間と言えるでしょう。
丁寧に前戯をして愛し合うというのが、恋愛感情が最も高揚したときの特徴ですが、残念ながら、満足度の減少はセックスに費やす時間の減少として表面化していきます。
例えば、日本人の性行為(お互いが体に触れ合ってから終わるまで)に費やす時間は、約4人に1人は15分未満しか使いません。また3人に1人が15分から30分以内です。
性行為に費やす時間の差は歴然と存在し、年齢とともに減少していくのですが、驚くべきは60%の日本人の性行為が30分以内で終わっている点です。
また回数も日本人の場合、極端に少ない。デュレックス社の調査によれば、ここ数年、日本人の1年間の性行為回数は45回前後です。世界平均が100回前後ですので、世界の平均の半分以下ということです。
日本全体では、全夫婦のうち40%がセックスレスと言われていますが、年齢が上がれば上がるほどセックスレスの夫婦が増えていくのは、限界効用逓減の法則からすれば、至極当然であると言えます。
年齢とともに、セックスの高揚感→マンネリ化→費やす時間と回数の減少という過程を経て、最終的にはセックスレスという着地点となります。いったんセックスレスになると、そこで夫婦関係は終わり、再び愛が復活してセックスをし始めるということはないようです。
例えば、30歳で結婚、35歳で恋愛感情が終わり、その後は性欲を処理するための義理セックス、45歳でセックスレス、55歳で子供が自立、65歳で夫がサラリーマンを定年退職する、という前提条件で考えると、少なくとも45歳から65歳の間は、性処理を資産として計上すると、セックスをしない夫ないし妻という負債を抱えることになります。
子供が自立した55歳から10年間は、さらに大きな不良資産となります。