北朝鮮の長距離弾道ミサイル打ち上げに関する“政府公式発表の時系列”を巡る騒動におけるマスコミの追及に対して、藤村修官房長官は「アメリカ軍監視衛星による早期警戒情報には誤情報もあるため、日本独自の手段で確証を得る方針であった」といった発言をした(4月13日、「時事通信」)。
日米同盟に基づいて貴重な軍事情報を提供したアメリカ側から見ると、「米軍情報を信頼していない」とも解釈できる言動を政府首脳がなしたわけである。
もちろん同盟国の情報だからといってすべてそのまま受け入れるわけにはいかないのは当然とはいえ、同盟の一方当事国政府首脳が「誤情報もある」などと公言する無神経さが問題なのである。
政府発表が遅いと騒ぎ立てるマスコミや野党の追及を交わすためのこのような応答に、現政権首脳の日米同盟に対する認識が極めて甘いという、国防的視点から見落としてはならない深刻な問題が露呈している(本稿では、「日米同盟」とは国際常識<少なくともアメリカ側の常識>に従い“日米軍事同盟”を意味する)。
日米同盟に関する日本政府の「甘い」認識
現政権に限ったことではないが、日本政府首脳は常日ごろ国防問題というと「日米同盟の深化」などというお題目を唱え続けているが、軍事同盟としての日米同盟に対する認識が極めて甘いために、“お題目”と言動や行動が大きくずれている。
政府首脳たちには、「日米同盟は日本にとってと同じくアメリカにとっても極めて大切な国防政策の根幹をなす同盟関係である」という思い込みがあり、それゆえに、ちょっとやそっとでは日米同盟が解消へ向かうことなど“よもやあるまい”という過信があるのではないだろうか。
日本防衛にとっての必要規模から見ると国防費は極めて少なく、その結果、自衛隊の規模も質・量ともに小さすぎると言わざるをえない現状下では、日本は好むと好まざるとにかかわらず日米同盟に“すがりつかなければならない”。
しかしながら、アメリカにとっても日米同盟は日本のように米国国防戦略の根幹をなす軍事同盟であると、日本政府首脳は誤解してしまっているのではなかろうか。あるいは、根幹をなしていると思いたい → 根幹をなしているに違いない → 根幹をなしている、と日本の都合に合わせて思い込んでいるのではなかろうか。とんでもない誤りである。
米軍の「戦士」たちの覚悟
もちろん、アメリカにとっても日米同盟が極めて重要であることは事実である。例えば、日米同盟が存続している限り、アメリカ海軍太平洋艦隊は、アメリカ本土から見て太平洋の対岸に横須賀・佐世保という理想的な軍港を確保することができる。