日本の政府利払い負担(対GDP比率)は主要国中では世界で最も軽い。
企業分析において債務負担の深刻さを計測する際に用いられる指標として、(1)債務対自己資本、(2)債務対売上、(3)債務対利益、(4)利払い対利益(キャッシュフロー)等があるが、最も重要で適切なのは(4)であることは明白であろう。国の借金も同じこと、利払い負担の重さこそが、政府債務の深刻さを測る最適指標である。
その最適指標が世界最良の日本で、財政破綻と増税論議が花盛りとなっている。野田佳彦首相の消費税増税発議によって、日本の経済論と政策論は財政問題に収斂しているのである。学者から官僚、メディア、評論家までが増税一色に塗りつぶされた議論をしているのは、異様である。
適度の債務(信用)は経済発展の推進力
確かにGDP比の債務残高は日本は世界最大ではあるが、それは民間の行き場のない過剰貯蓄の受け皿としての合理性を持っている。現在の日本経済の最大の問題が需要不足であり、財政赤字は余剰資本を需要につなげるという点で有機的役割を果たしているのである。
大量の余剰な労働力と資本を持ちながら財政支出が削減されていたら、経済はデフレスパイラルに陥っていたであろう。
財政赤字を削減するには、デフレの終息と成長の復元により、財政を需要創造という役割から解放することが先決である。デフレ終息と成長復元は困難だから増税と言うのでは、経済がさらに悪化することは必定である。