インターネットサービス大手の米AOLが、約800件の保有特許を米マイクロソフトに売却すると発表した。取引には約300件の特許をマイクロソフトにライセンス供与することも含まれており、これによりAOLは総額10億5600万ドルを現金で受け取ることになる。
「遊休資産を生かせ」と物言う株主が提言
AOLの説明よると特許資産売却の目的は「株主価値の向上」。
米ウォールストリート・ジャーナルは、これに先立つ2月、AOLは「物言う株主(アクティビスト)」として知られる米スターボードバリューから投資戦略を見直すよう迫られていたと伝えている。
同社では、2009年にティム・アームストロング会長兼最高経営責任者(CEO)が就任して以降、従来の会員制インターネット接続サービスから、広告を収益源とするメディア事業中心のビジネスモデルへと転換を図っている。
しかし改革は進まず、広告収入は落ち込みが続き、株価も低迷しているという状況。そうした中、株主は同社の保有特許が遊休資産になっていると指摘し、これを最大限に活用する方策を探すよう求めていた。
かつてのライバル、ネットスケープの特許も取得
一方マイクロソフトは、「米グーグルのモバイル基本ソフト(OS)『アンドロイド(Android)』にマイクロソフトの特許が無断で使用されている」と主張し、アンドロイドを採用するスマートフォンメーカーなどを相手取って訴訟を起こしたり、メーカーに働きかけて、ライセンス契約を結ぶよう促したりしている。
マイクロソフトのこの施策は一定の成果を収めており、同社は既に韓国のサムスン電子やLGエレクトロニクス、台湾のHTCやエイサーなどと契約を締結している。