最近トウモロコシと大豆のシカゴ先物価格が急騰している。「風吹けば桶屋が儲かる」とは因果関係を無理やりこじつける空虚な理論の例えだが、今回の価格上昇には中国も関係があるらしい。「中国で旱魃あればCBT(シカゴ商品取引所)が儲かる」という話は本当なのか。今回は中国農業を取り上げたい。

穀物先物価格の高騰

地球の広範囲で大干ばつの恐れ、米研究

世界的な旱魃が農産物価格を上昇させている〔AFPBB News

 3月13日、トウモロコシのシカゴ先物はブッシェル当り6.58ドルとなり6カ月ぶりの高値をつけたそうだ。大豆も過去3カ月上昇を続け、ブッシェル当たり13.44ドルの最高値となった。

 直接の原因はアルゼンチンやブラジルの旱魃による供給不足だが、中国の需要増を見込んだ投機マネーの流入を指摘する声もある。

 中国がトウモロコシと大豆の輸入を増やす理由は豚の増産である。今年の中国の豚肉生産は前年度比4.2%増の5160万トンとなる見込みだ。

 過去数週間、豚の飼料となるトウモロコシと大豆の中国での在庫が減少していることを受け、市場は再び中国の輸入増を予測したのだそうだ。

 筆者は先物市場の専門家ではない。そもそも、この博打のようなマーケットが「読める」なら、外交評論などやっていない。しかし、中国が豚肉増産を急ぐ理由が国内の物価対策であることぐらいは想像がつく。

 豚肉の最大生産国・中国の穀物輸入急増による価格の急騰は、インフレ懸念が高まった昨年夏から続いている現象なのだ。

中国の穀倉地帯

 チョッと待った。トウモロコシや大豆と言えば、中国も世界有数の生産国ではないか。中国政府は穀物自給率100%を誇っていたはずだ。どうして輸入が急増するのか。

 筆者はその理由の1つが、中国東北三省(旧満州地域)で最近頻発する旱魃とそれに伴う水資源の減少・劣化ではないかと考えている。

 早速「中国 旱魃」「China drought」でネット検索してみた。中国語や英語のメディアでは中国の東北三省、特に黒龍江省で過去数カ月間旱魃が続いており、このままでは農業生産に悪影響が出る可能性があるとの報道が2月頃から目立ち始めた。