3月4日に行われた大統領選の結果、ウラジーミル・プーチン首相が大統領職への返り咲きを果たした。これによって少なくとも6年間、再選すれば12年もの間、プーチン政権が続くこととなる。
では、新たなプーチン政権はどのようなグランドデザインを描いているのだろうか。
その一端をうかがわせてくれるのが、2月にプーチン首相が発表した7本の論文である。
これは『ラシースカヤ・ガゼータ』紙や『モスコフスカヤ・ノーヴォスチ』『コムソモリスカヤ・プラウダ』『コメルサント』『イズヴェスチヤ』といった主要紙に掲載されたもので、テーマは「ロシアの挑戦(総論)」「民族問題」「経済」「民主主義と国家」「社会政策」「国防・軍需産業」「外交・安全保障」となっている。
いずれもかなり詳細な長文の論文であり、各分野のブレーンと密接に協力しながら書いたものであろうと想像される。
全体として見れば、これらの論文は、彼なりの国家戦略を広く国民に示したものと理解できるだろう。
プーチンは、2000年に大統領に就任する際にも、「新千年紀を迎えるロシア」と題する論文と、ジャーナリストによるロングインタビュー『プーチン、自らを語る』を出版しているが、今回は各分野に関してより精密な見取り図を示している。
そのすべてを紹介することは困難だが、今回の小欄では、「国防・軍需産業」についての論文を紹介したい。
この論文については、大統領選を前にして軍の支持取りつけを図ったものとの見方も成り立つだろうが、同時に、軍事分野に関するプーチンの思想がうかがわれる興味深い箇所も多い。