週末の晩、ある中国人の誕生日会に参加した。上海市内の中華レストランに上海市政府の役人、企業家など26人が集まった。貸し切り部屋の2つのテーブルの1つで、訪日旅行が話題になった。
「東京には3回行ったことがあるんですよ」
「私は北海道しか行ってませんがね」
「大阪はものが安く手に入る」
いまどきの中国の富裕層は当たり前のように日本を訪れていることが分かる。
この宴席に臨んだ日本人は私ひとりだった。気を遣って共通の話題を探してくれていることも伝わってきた。
ところがしばらくすると、話は妙な方向に向かっていった。
「一緒に写っているのは日本のAV女優だ」
上海市政府のある役人が、自分の携帯に保存した習近平・中国国家副主席の写真、そして日本の某知事と撮影した写真を見せてくれた。自分の職位をひけらかしたい意図が透けて見えた。
続いて、日本の温泉に行ったという話を始めた。「日本には『混浴』があると聞いたのでわざわざ行ってみたが、女性は年寄りばかりだった」とスケベごころを隠さない。なるほど、男性のスケベごころをくすぐる場所が日本の裏シンボルになっていて、中国人のお金が落とされているのだ。
そしてその役人が次に自慢したのは、日本女性とのツーショットだった。本気か冗談か、「これはAV(アダルトビデオ)女優、AV女優だ」と怪しげな自慢を始めた。
「日本の女性はいい、本当にいい」――と、含みのある言葉も。一体どういうつもりの発言なのか。セクハラとも受け取れる。
そして今度は筆者に向かって、「中国の観光地に行ったことがあるか。大きいだろう。日本の観光地はプラモデルのように小さい。遠くからでも一目で視界に入るし、歩き回る必要もない」と言い放った。