3月4日に行われるロシア大統領選挙を前に、ウラジーミル・プーチン首相の大統領ポストへの返り咲きに反対する人々と、プーチン支持派の間で激しいせめぎ合いが繰り広げられている。

大統領選を前にヒートアップするプロパガンダ競争

プーチン支持派、際どいビデオ広告で若者票狙う ロシア大統領選

支持者の前で演説するウラジーミル・プーチン首相〔AFPBB News

 2011年12月の議会選挙から後のロシアの混乱状況を見ると、大衆動員の規模や、非暴力的デモの組織、またフェイスブックなどソーシャルメディアを積極的に利用した手法など、カラー革命の波が「アラブの春」を経由して、ついにロシアにまで到達しているとの印象を持ちかねない。

 権力保持のために強権的な手法も厭わずなりふり構わず奔走する国内の腐敗した長期政権と、一部国民の熱狂的な支持を背景に外国メディアを味方につけて政権打倒を目指す野党勢力という対峙の構図は、昨年来続く「アラブの春」と多くの点で共通点があるようだ。

 ではプーチン体制は今回立ち上がった人々によって本当に打倒されてしまうのか。

 もはや今回の大統領選はロシアの国内問題にとどまっておらず、ロシアと米国の間の緊張関係としてとらえられなければならないと考えられるのである。

政権側の懸念する外国勢力の支持

 プーチンをはじめとする政権側が大っぴらに懸念しているのが、反プーチン勢力を支援している外国勢力の影響力である。

 いわゆるカラー革命として知られる、主として平和的な民衆蜂起をテコとした政権交代の波は、セルビア(ブルドーザー革命、2000年)から始まり、グルジア(バラ革命、2003年)、ウクライナ(オレンジ革命、2004年)、キルギス(チューリップ革命、2005年)と続いた。

 一連の政権交代劇は、特定の外国勢力がNGO(非政府組織)の形を取って当該国の民主化を進めることを名目に、反体制派に物心両面で強力なテコ入れを行ったと言われている。

 実際、非暴力的な大衆の動員手法についてのノウハウが共有され、「アラブの春」にも引き継がれていたという事実もある。

 ロシアは、いち早くこうした外国からの脅威に敏感に反応し、NGOが外国支援を受けることに鋭く目を見張らせている。