シリアで反政府デモ?
ちょっとまだ第一報なので、正確なところは分かりませんが、シリア南部のヨルダン国境に近いダラアという町で反政府抗議行動があり、多数の若者(そのほとんどは15歳以下の子供だそうですが)が逮捕されたとの未確認情報が入りました。アラビア語サイトに出回った情報で、今のところ英文検索ではヒットしません。アラビア語サイトは誤報も多いので現時点では判然としませんが、続報が注目されます。

 

 これは、筆者が細々と続けているブログに掲載したエントリーだ。アップした日付は東日本大震災が発生した3月11日の5日前。2011年3月6日である。

 中東では当時、「アラブの春」が大きなうねりとなっていた。チュニジアの政変が1月14日、エジプトのムバラク大統領辞任が2月11日。その頃には反体制デモは中東全域に広がっていて、3月に入ってからは、特にリビアが本格的な内戦の様相を呈してきていた。筆者のブログも、この1つ前のエントリーは「リビア軍 VS 英米軍?」と題して、両陣営の軍事力比較を行っている。

 しかし、そんな時期に至ってもまったく反体制デモが起きていなかったのが、シリアだった。なぜか?

 理由は簡単で、この国は独裁国家だらけの中東アラブ諸国の中でも、突出して強大な秘密警察を持つ“並外れた超独裁国家”だったからだ。

約15人の参加者が強制的に解散させられた最初のデモ

 シリアがどれほど徹底した警察国家なのかは、あの国を多少とも知る人間なら、皆分かっている。筆者自身、初めて訪れた1984年から何度か訪問を重ねて、アサド親子の肖像だらけの個人崇拝ぶりを直に見聞している。あの国で「反体制デモ」などという恐ろしい行為は、とても考えられないことだった。

アサド大統領「テロリズムは鉄拳で制裁」、シリア

シリアの首都ダマスカスで演説を行うバッシャール・アサド大統領(2012年1月)。(c)AFP/SANA 〔AFPBB News

 だから、前述したような情報がネットに流れても、筆者自身、当初は半信半疑だった。ネットの情報などアテにならないことは、現代人なら常識だ。

 実はその頃、シリアでもフェイスブックを介して、反体制デモの呼びかけは行われていた。

 今でも反体制派の最大のフェイスブックコミュニティである「シリア革命2011」が立ち上げられ、シリア国内での反体制デモを呼びかけ始めたのは、2011年1月下旬のことだ。運営者はおそらく海外在住のシリア人のグループと思われるが、その正体は現在に至るも公表されていない。