2月26日に迫った大統領選挙をめぐり、セネガルが揺れている。

 憲法で3選が禁じられている中、既に2期目となっている現職アブドゥライ・ワッド大統領の立候補が憲法評議会で認められたことから、野党勢力を中心とした抗議行動が激化、治安部隊との衝突で犠牲者を出す騒ぎとなっているのである。

 2000年当選したワッド政権下、改正された憲法で大統領3選は不可となっており、改正前に始まる1期目は回数に含まれないとのワッド大統領の解釈が認められた形だ。

「民主的伝統を有するセネガル」

かつてのパリ・ダカール・ラリーの終点はこのピンクレイク(レトバ湖)のほとり

 セネガル共和国五十余年の歴史の中で大統領はたったの3人、という事実を知れば、騒ぐほどのこともない「いつも通りのアフリカの風景」と映るかもしれない。

 しかし、国際社会から発せられたコメントは「民主的伝統を有するセネガルには、自制と憲法秩序に則った責任ある行動が望まれる」というもの。

 実は、セネガルはアフリカでは珍しく、民主主義が定着していると認識されている国なのである。

 確かに、1960年フランスから独立を果たした時、血みどろの独立戦争は起こらなかったし、80年、「建国の父」レオポール・セダール・サンゴールからアブドゥ・ディウフへの政権委譲も平和裏に行われた。

 初めて政権政党が代わった2000年も大した混乱はなく、アフリカでは珍しく平和な政権交代が(たった3回だが)繰り返されてきた地なのだ。

 もっとも、実際には、建国直後にクーデター未遂もあったし、国境紛争や南部カザマンス地方の分離独立運動など問題も抱えているのだが、国家がひっくり返るような暴力的な政変は経験しておらず、アフリカの基準では平和な国と言っていいだろう。

 周りを取り囲むガンビア、ギニア、ギニアビサウ、マリ、モーリタニアなどはどこもクーデター常習国家。