今回から数回にわたって、「マイルの貯め方・使い方」についてお話ししたい。
世の中には、ひたすらマイルを効率よく貯め、そしてそれを使ってタダで海外旅行をしたり、航空会社の上級会員になって搭乗の際に特別扱い(ラウンジ使用、優先搭乗など)をされることに大いなる喜びを感じる「マイラー」なる人種がいる(私の周りにも数人いる)。
涙ぐましいマイラーたちの必死の努力
「マイラー」たちのノウハウは非常に参考になるが、そのすべてを実行しようとすると時間がかかり、またかえってお金もかかることが多い。
実際、彼らの行動をよくよく観察すると、“損して得取る”ではなく、“損して得取ってない”ようにも見える。
例えば、「マイラー」たちの間で"修行"と呼ばれている行為。これは、航空会社の上級会員の資格を得るポイントを稼ぐため、用もないのにお金と時間を使ってひたすら飛行機に乗ることを意味する。
以前は、JAL・ANAとも年間の搭乗回数50回というのが1つの基準だったので、"修行中"の「マイラー」たちは、時間があると羽田⇒大島⇒八丈島⇒羽田などの料金が安い近距離便に1日かけてぐるぐる回りながら乗って回数を稼ぎ、上級会員になっていた。安いと言っても総額で数十万円の出費が必要だが。
ちなみに今は上級会員の資格取得基準はポイントに一本化されてしまい、この“修行法”は使えなくなった。
このように、かなりの手間とコストをかけて上級会員となっても、ラウンジが使用できたり、優先搭乗ができたりするだけなので、どう見ても得していると思えないのだが、そんなことを気にするようでは立派な「マイラー」にはなれない。
日系の航空会社の場合、一度上級会員になれば、提携カードの年会費を払い続ける限りずっと上級会員の資格を維持できるのだ。
その次の年以降のポイント獲得努力は一切必要なくなることが、上記のような「マイラー」たちの行動を助長しているのだと思われる。
1年間努力すれば、その後の安定した身分が保障されるとあって、「マイラー」たちも頑張っているのだが、何やら受験勉強や就職活動にも似ている気がする。
一度中に入りさえすれば後は安泰というのも日本社会の縮図のようだ。