起源は謎、日本人の好物「ネバネバ、ズルズル」

食卓の定番「納豆」の歩んできた道(前篇)

2012.01.20(Fri) 漆原 次郎
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 朝。湯気がほかほか出ているよそいたてのご飯の上に、箸でよくかき混ぜておいた納豆をたっぷりとかける。ご飯の甘みと納豆独特の風味が口のなかで重なり合って、つい次へ次へと食べるスピードが早くなる・・・。

 納豆は日本人にとってなじみの深い食材だ。この類まれなる食材の歴史は、日本の近代から現代への歩みと軌を一にしている。今のような容器にパックされて売られるようになったのは戦後のこと。それまでにも、作り方や売り方には技術革新が重ねられてきた。

 前篇では日本人と納豆の歴史を追ってみることにしたい。謎に包まれた納豆の発祥や、近代科学による納豆のイノベーションなどを見ることができる。また、後篇では、納豆でよく言われる栄養価や健康面での効果について、現代科学の目を向けてみたい。

 日本の食卓の定番として欠かせない納豆。

日本の食卓の定番、納豆。ほかほかのご飯に、粒々が光り輝く(画像提供:全国納豆協同組合連合会)

 大豆の食べ方には、豆腐、醤油、枝豆の塩ゆでと様々あるが、中でも独特の色、形、風味で輝きを放っているのが納豆だ。褐色の丸い豆を箸でかき混ぜれば糸を引き、なんとも言えぬ納豆の匂いが鼻に届く。食べれば、あのトロントロンの食感とともに、重厚な味わいがある。

 多くの家庭の食卓に出されている納豆はどこからやって来たのだろう。実は、その起源は謎に包まれたままなのだ。

糸引き納豆の発祥に諸説あり

 納豆には、糸を引くお馴染みの「糸引き納豆」の他に、大豆に麹菌を付けて塩水に3カ月ほど浸し、その後、乾かして食べる「塩辛納豆」(寺納豆)がある。

 塩辛納豆の方は平安時代、唐に渡った留学僧が日本に持ち帰ったことが発端とされる。一方の糸引き納豆の起源には諸説があり、決め手はない。

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


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