市場調査会社の米ガートナーと米IDCが11日までにそれぞれまとめたパソコン市場調査によると、昨年10~12月期の世界パソコン出荷台数は1年前から減少しており、この先もしばらく大きな成長は見込めないようだ。
PC業界が直面する三重苦
ガートナーが公表した同期間の出荷台数は前年比1.4%減の9220万台で、減少幅は事前予測の1%よりも大きくなった。
IDCの数値は同0.2%減の9270万台と、事前予測の0.6%減よりいくらか良かったが、マイナス成長であることに変わりはない。
両社によると市場低迷の要因は、欧州の債務問題に起因する景気低迷、タイの洪水被害によるハードディスク駆動装置(HDD)の供給不足、そしてタブレット端末をはじめとする非パソコン機器の台頭だ。
ガートナーの主席アナリスト、北川美佳子氏によると、西欧の不安定な経済が消費者向けパソコン市場に悪影響を与えている。また北米の経済には比較的良い兆しが表れているが、まだ消費者向けパソコンの需要を回復させるには至っていない。
企業向けパソコンは比較的健全で、新興国市場の伸びといったプラス要因もあるが、それらが成熟市場の不振を補えず、「世界市場全体の成長については依然ネガティブ」(同氏)という。
HP、首位を維持するも16.2%減
10~12月期のパソコンメーカー別出荷台数の順位は、米ヒューレット・パッカード(HP)、中国レノボ・グループ(聯想集団)、米デル、台湾エイサー、台湾アスーステックとなった。
このうち1年前から大きく伸びたのはレノボで、ガートナーでは23%増、IDCでは36.77%増と報告している。IDCによると、レノボは欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域など中国以外の市場で勢力が伸びたことが奏功した。