2011年末、トヨタ自動車が新型ハイブリッド車(HV)「アクア」を発表し、主要メディアの間で盛んに報じられている。

 多くの消費者は新たなHVの登場を素直に歓迎しているようだが、証券会社や運用会社のアナリストたちは手放しでこの状態を歓迎しているわけではない。かく言う筆者もその1人。最近のHVブームが近い将来「ガラケー化」する懸念を拭い切れないのだ。

マスコミが持ち上げる新型HV

 「プリウスを上回る燃費実績」・・・。「アクア」を巡り、主要メディアがこぞって使う常套句だ。

 アクアはプリウスより一回り小さいサイズで、「JC08モード」で1リットル当たり35.4キロを達成した上、価格帯も169万~185万円に抑えるなど、お値打ち感満載なのは間違いない。

 政府によるエコカー補助金が2011年末から復活したこととも併せ、アクアは既に6万台を超える事前予約を集めている模様で、今年初の大ヒット車となるのは確実だ。

 また、トヨタは2011年に、2012年の生産計画について、2011年比で24%増の865万台と過去最高を見込むと発表したこともあり、メディアでの扱いはなおさら大きい。

 こうした主要メディアの記事や分析を一見すると、トヨタが2011年の東日本大震災やタイの洪水被害から完全に立ち直ったと受け止める読者や視聴者が大半ではないだろうか。

日本車すべてが沈んだわけではない

 だが、日本国内の報道とは対照的に、海外では厳しい受け止め方が増えているのだ。

 2012年1月初め、米国の専門調査会社オートデータが2011年の北米市場での販売実績を発表した。それによると、日系の2大メーカーであるトヨタは前年比6.7%減、ホンダも同6.8減とそれぞれ実績を減らした。

 東日本大震災発生によるサプライチェーンの被災、タイの大洪水被害による生産の遅れが主因であることは間違いない。「北米市場の顧客の多くは、契約後すぐに納車されることを望むケースが大半のため、(震災や洪水被害による)在庫逼迫はトヨタ、ホンダにとって致命的だった」(米系証券アナリスト)

 ここまでの話題は多くの本稿読者もご存じのはずだ。だが、オートデータの集計には見逃せない点がある。