連休中、米アップルのスマートフォン「アイフォーン(iPhone)」を巡って、米国の独禁法当局が同社に対する調査を検討していると伝えられた。
米ウォールストリート・ジャーナルによると、問題となっているのはアップルがアイフォーン向けアプリケーションの開発者に結ばせているライセンス契約。同紙は事情に詳しい関係者の話として、当局はこの契約がモバイル市場の競争阻害につながるのではないかと見て調査を進める方針だと伝えている。
「アドビのフラッシュは閉鎖的な技術」とジョブズCEO
各メディアの記事を見ると今回問題となっているのは、アップルが、(1)他社製開発ソフトを使ってアップル向けアプリケーションを開発することを禁じていることと、(2)アイフォーンの技術データを第三者に提供することを禁じていること。
前者では、事実上業界標準になっている米アドビシステムズの「フラッシュ(Flash)」技術を使ったアプリケーションを、アイフォーン向けアプリケーションにするためのソフトウエアツールの使用を認めてない。
この規約に違反した場合、開発者はアップルの「アップストア(App Store)」で自分のアプリケーションを販売できなくなる。アップストアはアップルのモバイル端末向けアプリケーションの唯一の販路のため、これを閉ざされると一切販売できなくなる。
アドビのフラッシュ技術については、アップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)がかねて受け入れない方針を明らかにしており、同氏は4月29日の公開書簡でその理由について改めて説明している。
この中で同氏は、「フラッシュはアドビの独自技術であり、アドビだけからしか入手できない閉鎖的な技術であることが問題」などとして、オープンなウェブ業界標準規格をサポートしていくという同社の方針について語っている。
ただしこれについて、英フィナンシャル・タイムズの記事は次のように指摘している。
「アップル向けに開発したアプリケーションは他社の機器には提供できず、このアップルのやり方は閉鎖的。開発者にアップルのソフトウエアを使うよう義務づけていることが不当かどうかを当局は調査しようとしているのだ」