2011年12月21日、2012年度の診療報酬改定率は全体で0.004%増とすることが決まりました。

 決定を受け、小宮山洋子・厚生労働大臣は「首の皮一枚、髪の毛一本でもつながった」とコメントしました。確かに、この改定率ではせいぜい公的医療が「崩壊を招かない」程度の効果しかありません。

 苦しい財政の中、民主党が「Manifesto2010」通り「診療報酬の引き上げに引き続き取り組む」という姿勢を示したことは大いに評価すべきでしょう。しかし、診療報酬改定では「今の医療の実態に見合った診療報酬なのか」こそが真剣に議論されるべきだったと思います。

 実際に行われた議論はポイントがずれたものでした。それだけではなく、今後も公的医療を維持していくための財源を含めた“本質的な改革案”まで踏み込んで議論されることはなかったのです。

医療の実態を無視した提言型政策仕分け

 2011年11月22日に、診療報酬に対する「提言型政策仕分け」が開かれました。

 議論では、「デフレの影響で物価が下がり、民間給与の動向や公務員給与が削減されている・・・(診療報酬の)引き下げはやむを得ない」という政府の主張を受けて、評価者全員が診療報酬本体について「据え置き、または抑制すべき」との決定を下しました。

 これは、現在の日本の医療の実態を踏まえた評価だとは、とても思えません。なぜなら、30年前の診療報酬よりも、今の診療報酬の方が安いのです。1981年から2010年までの間に賃金指数は1.37倍に、物価指数は1.23倍に上昇しています(参考「 賃金・物価指数を大きく下回ってきた診療報酬改定指数」中央社会保険医療協議会)。「デフレだから下げるべき」というのはこれまでの経緯を無視した議論です。

 また、医療従事者の給料は、国家公務員の663万円、地方公務員の729万円に比べると半分くらいしかありません。民間の平均給料420万をも下回る389万にしか過ぎません(参考「公務員と民間との平均年収の比較について」中央社会保険医療協議会)。