ウクライナ政権交代から2カ月後の4月21日、ビクトル・ヤヌコヴィッチ新大統領とロシアのドミトリー・メドベージェフ大統領は、ウクライナ東部の都市ハリコフで会談を行い、「ガス価格の値下げ」と「黒海艦隊基地の駐留期間の延長」をリンクさせた「ウクライナ領上ロシア連邦黒海艦隊の駐留問題に関する条約」(以下、ハリコフ条約)に調印した。
電撃調印されたハリコフ条約
直前まで、ガス値下げはウクライナのガスパイプラインの賃貸、輸送料値下げおよびウクライナ国内原発建設へのロシア企業参入とセットで交渉、と伝えられていたため、今回の「経済」と「軍事/政治」とのバーター合意はウクライナ政界でも驚きをもって迎えられている。
このハリコフ条約はわずか3条文の短いものであり(うち1条は有効期間を定めたものなので実質的には2条)、具体的な手続きについて何ら規定されていない。比較のため、現存の条約・契約との対比を示す。
1997年5月28日条約 | 1997-2017(20年契約) | 年間9775万ドル (債務との相殺) |
2010年4月21日条約 | 2017-2042(25年契約) | 年間1億ドル (通貨決済?) |
ロシア黒海艦隊はソ連時代に引き続き、ウクライナ領セヴァストーポリ基地を使用しているが、賃貸料はウクライナの対ロ国家債務(総額30億7400万ドル)と相殺である。今回の条約では1億ドルと明記されたが、決済方法は現時点で不明である。
2009年1月19日:契約 (ナフトハス~ガスプロム間契約) |
価格=450(0.5×G/935.74+0.5×M/520.93) G:直近9カ月の軽油の平均価格 M:直近9カ月重油価格 |
2009年度のみ20%割引 |
2010年4月21日条約 | 100ドル割引 | 30%割引 (330ドル未満の場合) |