このところ業績不振が顕著になってきたカナダのスマートフォンメーカー、RIM(Research in Motion)を巡って、M&A(企業の合併・買収)の話がしきりに報じられている。例えば米ウォールストリート・ジャーナルは、米マイクロソフトとフィンランドのノキアが共同でRIMを買収する可能性があると報じた。
一方、英ロイター通信は、米アマゾン・ドットコムが今年の夏、RIMとの事業統合を視野に入れ、投資銀行に評価を依頼したと伝えている。
いずれも買収の実現性については未知数だが、業績回復の具体的な見通しが示せない現状では、可能性は否定できないと見られている。
大幅減益、新製品の延期も発表
RIMが15日に発表した9~11月期の決算は大幅な減益となった。またこの時、新製品の投入計画が来年後半以降に延期されること、組織構造や経営体制の改革が進んでいないことが明らかになり、株主は激怒したという。
ウォールストリート・ジャーナルは、マイクロソフトとノキアによるRIMの買収計画はまだ何も決まっていないとしながらも、事情に詳しい関係者の話として、両社は過去数カ月間、非公式に協議しRIMの買収について検討したと伝えている。
RIMのジム・バルシリー共同最高経営者(CEO)も「会社売却について真剣に検討するのは、来年に新モデルをリリースするまで待つ」としており、必ずしも拒絶していないもようだ。
実はRIMが投資家をいら立たせたのは今回が初めてではない。これまでも一向に改善が見られない同社の経営体制に、アナリストや投資家は抜本的な改革を求めていた。例えば同社では、ジム・バルシリー氏とマイク・ラザリディス氏がともに共同CEOと共同会長を務めている。
こうした組織構造が迅速な意思決定を阻害するとして、株主総会で両氏の役職を分離するよう求める提案がなされたが、両氏が見直しを検討するという約束をし、いったん提案が取り下げられたという経緯がある。