米グーグルの書籍デジタル化を巡る問題にまた新たな動きがあった。米国のメディア写真家協会(ASMP)やグラフィックアーティストなどの団体が、グーグルに著作権を侵害されたとしてニューヨークの連邦地裁に提訴した。
著作権で保護されている画像が掲載されている書籍などをグーグルが無断でデジタル化し、同社の書籍検索・閲覧サービス「グーグル・ブック・サーチ(グーグル・ブック)」で公開しているのは著作権侵害に当たると主張。
米ウォールストリート・ジャーナルの記事によると、団体は画像のデジタル化、公開、配信、販売の禁止と、最低15万ドルの損害賠償を求めている。
「グーグル、また複雑な問題に直面」と英メディア
同サービスを巡っては、米国の作家協会などがグーグルを相手取って集団訴訟を起こしていたが、2008年に両者は和解した。ただ集団訴訟の和解は当事者間だけでは行えず、裁判所の承認が必要となる。
その承認の可否を判断すべくこの2月18日にニューヨーク連邦地裁で公聴会が開かれたが、判事は意見陳述を聴くにとどめ、判断を示さなかった。関係者は結論が出るまでにはあと数カ月かかると予測している。
英フィナンシャル・タイムズは今回の新たな訴訟について、「6年にわたるこの問題が今夏にも決着すると見られていた矢先、グーグルはまた複雑な問題に直面した」と報じている。
今回訴えを起こしたのは、写真家協会やグラフィックアーティストの団体のほか、アーカイブ画像の業界団体、北米自然写真協会、米国写真家協会、個人の写真家やイラストレーターなど。これら団体は、作家協会の訴訟に加わりたいと裁判所に申し出たが、当該訴訟を混乱させることになるため個別の訴訟として提起するよう勧められたという。
グーグルは米国や英国の図書館にある世界の蔵書をデジタル化し、ネット上で全文検索や閲覧できるサービスを提供している。そこでは著作権の失効したものは全文閲覧できるようにし、著作権保護期間内のものはその一部を表示、書籍の購入先や所蔵している図書館を案内している。