北米報知 平成23年11月9日号より
米連邦議会が2日、第2次世界大戦中の日系人部隊の活躍を踏まえて、米国国内外の一般市民に与える最高位の勲章となる「議会名誉黄金勲章」を授与した。対象は米陸軍第100歩兵大隊、第442連隊戦闘団、軍事情報部で、日系2世を中心に約2万人が所属していた。
授与式典には、部隊に所属していた日系復員軍人や家族ら数百人が参列、米政界からも、民主、共和両党幹部に加え各連邦議員が出席した。
祝辞と大戦下におけるファシズムと偏見との戦いに対してのねぎらいや、大戦への貢献に対する感謝の言葉が送られた。
第2次世界大戦中、「敵性外国人」として財産を奪われ、収容所に入れられた米西海岸在住の日本人移民、日系人は11万人以上におよんだ。2世の多くは日系人部隊に志願、欧州戦線や太平洋戦線での戦いに臨んだ。
第442連隊戦闘団は、米国史上最も多くの勲章を受けた部隊として知られ、欧州戦線で活躍、その激闘ぶりは延べ死傷者数9486人という数が物語る。
ドイツ軍に包囲された米陸軍テキサス大隊211人を救出するため、大統領命令で前線へ投入され、約800人の死傷者を出しながら救出に成功した。この戦闘は後に米陸軍の「10大戦闘」に数えられるようになり、フランスのブリュイエールでは同部隊の活躍を称え、「第442連隊」の名を冠した通りができた。
陸軍情報部は主に太平洋戦線で通訳、日本軍捕虜への尋問など、後方支援を展開。沖縄戦では現地の言葉で投降勧告を行うなど、日本語の知識を生かし、犠牲者軽減にも一役買ったとされる。
式典では第442連隊出身でハーバード大学のススム・イトウ名誉教授のほか、第100歩兵大隊のミツオ・ハマスさん、MISのグラント・イチカワさんが勲章を代表で受け取った。同隊に所属し戦闘で右腕を失ったダニエル・イノウエ上院議員も勲章を手に取り、授与を決定した連邦議会への感謝の言葉を述べた。
2日の式典に関する写真は英語面8面で見ることができる。
(柳瀬 啓佑)
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