「あなたは知らないかもしれないが、あなたが持っている小型機器には隠された目的がある。メーカーは単に小型機器を売っているわけではない。小型機器を介してそれぞれのコンテンツの生態系へとあなたを誘い込み、ロックインしようとしている」
米ビジネスウィークがこんな記事を掲載している。小型機器とは、携帯電話なら米アップルの「iPhone(アイフォーン)」や米グーグルのアンドロイド端末。ゲーム機なら、マイクロソフトの「Xbox 360」やソニー「プレイステーション3」、任天堂「Wii(ウィー)」。電子書籍なら米アマゾンの「Kindle(キンドル)」、そして、まもなく発売されるアップルの「iPad(アイパッド)」などだ。
これらの機器には、ぞれぞれのコンテンツやアプリケーションの世界が広がっており、その多くがインターネットを介して配信されている。そして特定のメーカーの商品群とユーザーを結びつけることを目的としているという。
「今後、メーカーの間では、機器を販売することよりも、機器を利用してユーザーを自社コンテンツの生態系にロックインするという戦争が起こる。大手は今、懸命にコンテンツの壁を作り、ユーザーから料金を徴収しようとしている」
「ネットのコンテンツは分断されていく」
インターネットのコンテンツはこれまで、パソコンのウェブブラウザーという共通の基盤のもと、誰もが自由にアクセスできることを前提に発展してきた。しかし今後の主戦場はウェブブラウザーでないところに移ろうとしている、と記事は伝えている。
市場調査会社米フォーレスターリサーチのアナリストは、インターネットが複数の基盤の世界に変わっていくこのような現象を「スプリンターネット」と呼んでいる。「スプリンター(分裂)」と「インターネット」を組み合わせた造語という。
このアナリストは、「これまで我々は、どのようなウェブプラウザー、パソコン、接続方法を選ぼうとも、インターネット上にあるコンテンツをほぼ同じように利用できた。こうした黄金時代はまもなく終わり、互換性のないコンテンツの世界が広がっていく」と予測している。