現在、中国の住宅市場は、非常に厳しい抑制政策下に置かれている。過去、住宅市場が過熱するたびに抑制策が発表されてきたが、厳しい運営を強いられる中で、市場のハードランディングを避けながら何とかここまでやってきた感がある。
本稿では、抑制政策下の住宅市場の中でも購入可能な「もう1つの住宅」について報告したい。
「限購令」という非常に厳格な政策
2011年1月に発表された政策(「新国八条」と呼ばれている)は、これまで発表された政策の中でも厳しいものになっている。以下は、主な項目である。
■ 2件目の住宅購入にかかる住宅ローンの頭金比率の下限を、これまでの50%から60%に引き上げ。金利は基準金利の1.1倍
■ 当該地の戸籍を保有する世帯で、2件以上保有する世帯は住宅を購入できない。1件保有している場合は、1件のみ購入可能
■ 当該地の戸籍を保有しない世帯で、税金や社会保険料を納付した実績を持つ世帯は1件のみ購入可能
■ すべての住宅について、購入後5年未満で転売した場合、営業税を売却額に課税
1つの世帯にとって必要な住宅は1件であり、2件目以降の住宅購入は「投資」に当たるという判断である。必要な世帯に必要な住宅を供給するという中央政府の意図を汲みとることもできよう。
2件目の住宅購入に際してローンを利用する場合、少なくとも物件価格の60%の資金をあらかじめ用意しなければならない。住宅に投資するには、ある程度まとまった資金が必要となった。なお、3件目については、2010年4月からローンは利用できないようになっている。
現在、最も影響力があるのは「2件以上保有する世帯は住宅を購入できない」という政策である(「限購令」と呼ばれている)。不動産の取引を管轄する部局で厳格なチェックが入るため、どれだけ資金があったとしても3件目を購入することができない。