のっけから私事で恐縮だが、つい先日、携帯電話を「アイフォーン4S(iPhone 4S)」に替えた。筆者はこの手のガジェットにはほとんど興味のない人間で、KDDIがiPhoneの販売に乗り出すと聞いてもほとんど聞き流していたのだが、さすがに3年間使い続けた電話機が老朽化の極みに達したことと、あるニュースを耳にしたことが買い替えの契機になった。
ロシアの位置情報システムを採用したアップル
アイフォーン4Sでは、位置情報の取得に米国のGPSだけではなくロシアのGLONASSを併用しているというのである。これを聴いて俄然、アイフォーン4Sが欲しくなってしまったのだ。
ところで、GLONASSとは一体何なのか。
米国の開発したGPSについては、すでに多くの読者がご存じであると思う。GPSとはグローバル・ポジショニング・システムの略で、軌道上に配置された24基(+予備7基)の衛星によって、地球上のどこに居ても自分の位置を把握できるというシステムだ。
もともとは米軍の活動を支えるために開発されたが、今ではカーナビや各種モバイル機器をはじめとしてあらゆるところで使用されている。
一方、GLONASSは、米国のGPSに対抗するためにソ連で開発が始まった。もちろん、当時のソ連のことであるから、使用目的は純粋に軍事用である。
1996年にはすでに実用システムが完成していたが・・・
GLONASSは全24基の測位衛星(うち3基は予備)から成るシステムで、地球のどこから見ても常に5基以上の衛星が地平線上に見えるように配置されている。
これらの衛星からの電波を受信することで、GPSと同様、常に自分の位置が把握可能となるわけだ。
GLONASS用測位衛星の第1号は1985年に打ち上げられ、1996年には予定通りに24基体制が達成された。
だが、当時のロシアは経済的苦境の真っただ中にあり、この体制を維持し続けることができなかった。