「歴史」が人気である。戦国武将を主人公とした時代小説や大河ドラマはヒット続きだし、「歴女」「歴ドル」といった言葉がテレビに氾濫するようにもなった。国内ばかりでなく、海外旅行でも世界遺産に指定されているような遺跡の人気は上々で、旅行パンフレットを見ていても「10個の世界遺産を一度に訪れるお得な旅」などとその興味を煽るものが目を引く。
歴史ブームに沸く日本だが、現代には全く興味がない
日本人も数多く訪れるイグアスの瀧。とにかくスケールが大きい「~生誕~年」「~没後~年」などの名の下、ブームを煽ろうとする諸業界の思惑にも乗って多くの関連商品が市場を賑わしている。しからば今年は誰の年かというと、ドラマでは坂本龍馬、没後100年でマーク・トウェイン、生誕200年はショパンといったところだろうか。
そんな「歴史」を感じさせる場所は国内国外問わず多くの観光客が訪れその知識素養向上を図っているが、一方で今その地を動かしている政治経済に対してとなると、全くと言っていいほど興味を示さない。
脈々と続く歴史の流れの中から「今」は形成されているはずだが、過去の断片である歴史の一部分にばかり固執しているのは実に奇妙なものだ。
過去が世界の「今」に及ぼしているもの、点であった「歴史」の雑学を今に繋がるまでの線とする知識に変えることで「歴史」を知る価値はより一層高くなり、また「今」の生活にも利用できるようになる。現代社会で当たり前と思われていることはどれも、どこかの「歴史的瞬間」から始まったものだからだ。
そんな現代社会の基本構造を決定づけた「歴史的瞬間」を探りに、これからしばらく過去を彷徨ってみようと思う。
となれば、宇宙や地球の始まりから話を始めるのが筋だろうが、話が長くなってしまい、いつまで経っても本題の現代世界の姿に到達しなくなる恐れがあるので、今回は現代の覇権国家米国のあるアメリカ大陸が欧州人に “発見” された500年ほど前から話を始めることにしよう。
ポセイドン・アドベンチャー ~七つの海を越えた神々~
現代は、世界中、人、物問わずボーダーレスに行き交うことが当たり前のようになっているグローバリゼーション全盛の世の中だが、そもそも「グローブ」(地球)がはじめて一体化したのはいつなのだろうか。
そういう疑問を投げかければ、さも当然とばかりに、西洋人は「西インド」「新大陸」といった地域に行きつき、地球を一周してからだという答えが返ってくる。西洋史を軸とした「世界史」の中では、その功労者はコロンブス、アメリゴ・ヴェスプッチ、ヴァスコ・ダ・ガマ、マゼランといった「探検家」である「偉人」たちというように我々日本人も教えられてきたからだ。
ところが、彼らが「見つけた」土地には、はるか昔にヨーロッパ人の一員である『ヴァイキング』(1957)が到達していたばかりか、東洋の大国中国からも、あの紫禁城を建てた明の成祖・永楽帝の時代に世界中を巡っていた宦官・鄭和が行き着いていた可能性がギャヴィン・メンジーズのベストセラー「1421-中国が新大陸を発見した年」で語られている。
シェヘラザード(シエラザード)が夜な夜な語る中世アラブ世界の風俗が興味を引く「千夜一夜物語」の『船乗りシンドバッドの冒険』(1946)の記述のごとき、今のオマーンあたりを起点とした多くのアラブ人たちが、12世紀頃から「新大陸を発見」しないまでも世界を股にかけて航海を続けていた。
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