2月15日、イスラエルのネタニヤフ首相がモスクワを訪れ、メドベージェフ大統領およびプーチン首相と会談した。会談の結果、ロシアが予定していたイランへの「S-300」防空システム(地対空ミサイル)5基の売却が、停止されることとなった。
S-300は、軍事専門家の間では米国のパトリオットミサイルよりも性能が高いと言われており、ロシア軍需産業の大きな売り物である。
S-300をロシアから買っている国は、アジアではベトナム、中国とインド。南米ではベネズエラ。東中東では、米国にとっての問題児シリアも購入している。北大西洋条約機構(NATO)加盟国のギリシャも購入しており、米国さえも評価試験のために手に入れている。
ロシアが歩み寄るのはアラブかイスラエルか
ロシアはイランに売却することについて、「あくまでも防衛用であり、問題はない」と弁解していた。米国は「イランへの売却は好ましくない」と主張していたが、モスクワに圧力をかけることはなかった。
だが、イランの核施設爆撃を辞さないイスラエルにしてみれば、S-300は明らかに危ない存在である。だから、ロシアがS-300をイランに売却することを見合わせたのは、イスラエルにとって「小さな勝利」であると思える。
その背景には取り引きがあったようだ。イスラエルの外務省筋の情報から、マスコミは次のように報道している。ロシアがイランへのS-300売却を停止した見返りに、イスラエルは、ロシアの敵となったグルジアに武器を輸出しないことを約束したという。
敵と味方が判然としない中東で最適な外交路線を取ることはどこの国にとっても難しい。ロシアにとっても中東との外交は容易ではない。
旧ソ連はイスラエルを国家として認めず、外交の相手はアラブ世界一辺倒だった。だが、新生ロシアは中立的な立場を取ろうとしている。
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