電子書籍リーダー「Kindle(キンドル)」の売れ行きも良く、好決算も発表するなど絶好調の米アマゾン・ドット・コムだが、そんな同社を巡ってちょっとした騒動が持ち上がった。アマゾンが販売しているKindle向け電子書籍の価格を、出版大手の英マクミランが上げるよう要求した。
アマゾンはこれに反発、電子版、ハードカバーともにマクミランの出版物の販売を一時とりやめて抗議していたが、最終的にマクミランの要求を受け入れ、値上げを決めた。マクミランの米国法人CEO(最高経営責任者)の声明によると、この3月の初旬から12.99~14.99ドルという新たな価格帯で販売されるという。
アマゾンは、ベストセラー書籍の電子版をハードカバーの半値以下の9.99ドルで販売し、Kindleの普及を推し進めてきた。ところが出版各社はこの価格に不満を抱いていた。
アップルを強力なライバルと認識
折しも米アップルが、タブレット端末「iPad(アイパッド)」を発表し、電子書籍市場への参入を表明した。アップルは出版社に対し、アマゾンよりも自由な価格決定権を与え、出版社への利益分配率もアマゾンより高めの70%に設定した。これは「iPhone(アイフォーン)」向けアプリケーションの開発者への利益還元率と同じだ。
米ウォールストリート・ジャーナルの記事はこう報じている。
「アップルの新型タブレットがどれだけ消費者に受け入れられるかは分からないが、出版社にとってはアップルの販売網という選択肢がもたらされたことを意味する。またアマゾンがマクミランの要求を受け入れたことで、ほかの出版社が追従し、値上げ要求は今後広がっていく」
「今回のことで、アマゾンはKindleの強力なライバルが現れたことを公に認めたことになる。同時に今同社が市場を席巻している電子書籍コンテンツの分野でもアップルという強力なライバルが現れたことを認めた」