米国人は浮気に厳しい。ここ数年、浮気が原因で転落する政治家が立て続けに出ている。
つい最近、国民へのインパクトという点ではタイガー・ウッズのそれをもしのぐ、ある政治家の大スキャンダルが明るみになり、全米を揺るがせた。
その人物とは、ジョン・エドワーズ元上院議員(56)である。
かつて2度にわたり大統領選に出馬し、あと一歩で副大統領になりかけた男が、不倫スキャンダルで失墜。再起不能なほど、致命的に堕ちた。
おそらくエドワーズにとっては、軽い気持ちで始めた浮気だったのだろう。しかし、大統領予備選挙の運動中に耽溺した不倫には、取り返しのつかない結末が待っていた。
2010年1月、エドワーズの妻と側近が相次いで証言したことで、スキャンダルの詳細が次々に明らかになった。その証言は、彼の偽善をこれでもかというほど露呈するものであり、今後二度と公の職に就けないばかりか、この先ずっと人目をはばかって生きていかなければならないような状況に追い込んだ。
全米の耳目を釘づけにした大スキャンダルの詳細を紹介しよう。
きっかけは大統領予備選に向けたPRビデオ
2004年に民主党の副大統領候補だったエドワーズは、2006年に入ると間もなく大統領予備選挙の準備に入った。そしてその頃、不倫相手となるリエル・ハンター(45)とニューヨークのバーで出会う。
ハンターはその場で、映像を使った新しい宣伝方法をエドワーズに提案する。「YouTube」を使い、選挙運動の様子をビデオダイアリーのように公開するというアイデアだった。気に入ったエドワーズは、彼女をすぐにキャンペーンスタッフとして雇う。
ハンター自身は、それまで女優業以外には、映像に関係した仕事の経験はない。しかし彼女は、合計4本の短いビデオ(2~8分)を制作し、およそ1000万円の報酬を受け取る。