先月末、本サイトで「コーポレートランドの衝撃:もはや国家は企業を支配できない」を書いた後、コメントをたくさん頂いた。
今回はその続編として、米企業が世界中に出ていって縦横無尽に勇躍するトリックの1つを記したいと思う。すでに専門家に指摘されていることだが、注視したい問題である。それは大企業がいかにして法人税を回避するかの手口である。
1兆円の利益を上げながら法人税を払わないGE
今年3月、電気・金融大手ゼネラル・エレクトリック(GE)が2010年度、140億ドル(約1兆円)の利益がありながら、法人税を全く納めていない事実が判明して関係者を驚かせた。
バラク・オバマ大統領は当然のように法人税改革を口にしたが、それから半年くらいでは何も変わっていない。
GEだけではない。グーグルも2007年から2010年にかけて、国外の営業活動で31億ドル(約2350億円)もの税金を節約していたことが分かっている。
いったいどういった手口を使うのか。グーグルが利用したのは「ダッチサンドイッチ」と呼ばれる手法で、米国財界ではよく知られている。近年は是正される動きがあるが、現在でも多くの企業がグーグルと同じ手口で節税の恩恵にあずかっている。
それは米国の多国籍企業の税収を眺めれば一目瞭然である。2004年の米国財務省の資料によれば、彼らの国外での総利益は7000億ドル(約53兆円)に達していたにもかかわらず、米国政府に支払われた税額は160億ドル(約1兆2000億円)に過ぎなかった。
税率はたった2.3%である。ほとんど脱税の世界である。