会社を起業すると、「決算」システムが必要になる。社員を雇用すると「給与」システムが必要になる。製造や売買を行えば、「売掛・買掛管理」「在庫管理」など様々なシステムが必要となる。
会社が小規模なうちは、パッケージ商品などを購入すれば、数万円、数十万円で簡単なシステムは構築できる。
だが、大企業になってくると、システム自体が肥大化し、複雑化してくる。各部門で必要なシステムが増え、部門間や子会社などとのデータの連動(連結決算など)も増えてくる。システムはさらに大規模化する。
そうなると、自社だけで開発するのは困難になり、専門の知識・技術を持つコンサルティング会社やシステム開発会社の協力が必要となる。
やがて数年後には、構築したシステムが硬直化し、再構築が必要という課題が出てくる。
実は、その時こそが経営者にとって、経営ビジョンや今後の経営戦略をシステムに反映し、ビジネスプロセスを刷新(BPR:Business Process Reengineering)する絶好の機会となる。前回説明したソフトウエア開発のプロセスで言うと、最初の「計画(Planning)」段階からシステムを作り直すのである。
だが、実際に取り組む会社は決して多くない。最大の理由は、経営者がシステムにタッチしないからである。もしくは、CIO(Chief Information Officer)に相当する人物がいないからだ。
CIOとは、企業の経営理念に合わせて情報化戦略を立案、実行する役員待遇の責任者のことだ。「最高情報経営者」「情報システム担当役員」「情報戦略統括役員」などと訳される。
日本の会社は、このCIOがほとんど存在しない歴史を歩んできた。私が、IT業界に入った1991年頃は、ごく一部の花王のような先進的な会社を除いて、皆無であった。
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