(前篇はこちら)
南相馬市小高をすぎて、国道6号を南に向かっている時だった。運転席のジローくん(仮名)が左側を指差した。
「ほら、あれ、略奪されたコンビニ」
一見するとどこにでもある普通のコンビニだが・・・。え? ぼくは戸惑った。被災地では略奪はなかったことになっているのでは?
「ATMが壊されて金が盗まれたらしいス」
広い駐車場にワンボックスカーを入れた。今度も手短にお願いします。国道はパトカーが多いですから。ジローくんはそう言って、また「見張り役」を引き受けてくれた。
セブン-イレブンに歩み寄る。向かって左側の側面のガラス壁が割られていた。人がくぐれるくらいの穴があいている。
破壊されたATM、中身がぶちまけられた商品
頭を中に入れたとたん、何か邪悪な空気が気道に流れ込んできて、胃からすっぱい塊が上がってきた。それは肉や野菜が腐った匂いだった。
私は中で何が起きているか、察知した。コンビニが1軒まるごと腐っているのだ。
破壊されていたATMこういう匂いは殺人事件の取材で経験があった。私はマスクの上から頭にかぶっていた手ぬぐいを巻き、後ろで縛った。そして深呼吸して、鼻から息を吸わないようにして、中に入った。
真っ先に目に飛び込んできたのは、破壊されたATMだった。パネル画面の下の引き出しのような部分(こんな部分が隠れているとは知らなかった)が前に出ている。何か巨大なニッパーでねじ切られたかのように、金属部分がちぎれていた。紙幣か何かを収容していたらしい。空っぽだった。
息が荒くなった。こらえても邪悪な空気が鼻に入ってくるのだ。
そして暑い。カメラを握る指先が汗でぬるぬるした。
床が見えないくらい商品が散乱していた。いや、もう商品ではなかった。スナック菓子の袋が引き裂かれ、カップ麺の容器はちぎれて中身がぶちまけられている。
レジ横に、カップ麺用なのか白い電気ポットがあった。その周辺に、ブルーベリージャムが点々と落ちている。
なぜここにジャムが?
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