この週末のパリの中心街を歩いていると、フランスはそんなに景気が良かったのか、とちょっとびっくりするような人出だった。しかし、これは景気が良いからではなくて、ただ単に、クリスマス商戦が始まったということだろうと思う。
クリスマスのパリで微笑む舞妓さん
フランス人のクリスマスの過ごし方は、多くが家族、あるいは親戚で集って祝うというもので、メンバーのそれぞれにプレゼントを用意する。つまりそれなりの数が必要だから、前前から購入計画を立てて動く。
デパートなどは、早々に分厚い雑誌のような商品カタログを発行して購買欲をそそり、外装やウインドーにおおがかりな仕掛けを施す。
町並みそのものも、個人商店の飾り窓もまたクリスマス仕様。それらすべての眺めが12月のパリの風物詩である。
その中で、ひと際目を引くウインドーがある。桜と提灯の下で、舞妓さんがほほ笑んでいるという、パリのクリスマスからは完全にタイムスリップしたような光景。「sentou(セントゥー)」という、インテリア関連のオブジェを扱う店のウインドーである。
イサム・ノグチや柳宗理をパリにマッチさせた店
パリのマレ地区と7区のライパイユ通りという、いずれも一等地に位置するこのショップは、1970年代の後半に、オリジナルの家具の店としてパリに進出。
それ以来、時代を先取りしたデザイナーの作品をいち早く紹介したり、また、彼らとのコラボレート商品を発表するなどして、インテリアデコレーションの分野では、常に注目を集めている。
例えば、イサム・ノグチの灯りのシリーズや柳宗理のバタフライチェアなどをパリのインテリアにマッチさせたのは、この店の功績によるところが大きい。
しかし、どうしてまた今、桜と舞妓なのか?