パリで火がついた日本茶ブーム

エグゼクティブたちが玉露を指名買い

2009.11.17(Tue) 鈴木 春恵
筆者プロフィール&コラム概要

 パリの中でもとりわけ人気の高いサンジェルマン界隈の一角に、日本茶の専門店がある。その店の名は「寿月堂」。角地に面したガラス張りの店は、外からでも何やらよそとは違うおしゃれな雰囲気が見て取れる。

パリだから味わえた古き良き日本

パリ「寿月堂」。設計は、隈研吾氏

 扉を押して中に足を踏み入れると、中央のカウンターの一部に茶釜が置かれていて、そこからちょうどいい具合に湯気が上がっている。

 この店は、日本から空輸した新鮮なお茶と、それにまつわる品々を扱うブティックであるが、5客ほどの椅子がしつらえられたカウンターでは、実際にそれらをゆっくりと味わうことができる。

 奥の席に腰かけて、お茶を一杯いただくことにする。メニューを開くと、抹茶とマロンのシロップ漬け、玉露とチョコレートなど、一風変わったお茶菓子の取り合わせが興味をそそる。

 それも、チョコレートなら「メゾン・ド・ショコラ」や「ピエール・マルコリーニ」、抹茶のフィナンシェはお向かいの店「ジェラール・ミュロ」といったパリの名店製揃いである。

パリ寿月堂

 「新しいところでは、『クリスチャン・コンスタン』とコラボレーションしたクッキーがあります」と、店長の丸山真紀さんがにこやかに説明してくれる。

 では、そのクッキーとほうじ茶をお願いすると、黒い塗りの折敷に、肌合いのよさそうな急須と湯呑、そしてお菓子がなんともいい具合に並べられて正面に置かれた。

 豆しぼりのお手ふきが隅にちょこんと添えられたあたりも、なんとも日本人らしい心配り。

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出版社できもの雑誌の編集にたずさわったのち、1998年渡仏。パリを基点に、フランスをはじめ、ヨーロッパの風土や文化、人々の暮らしをテーマにした取材を、文と写真で展開している。


欧州

欧州は観光ばかりでなく農業や地方の活性化、また少子高齢化対策などでも日本が学ぶべき点が多い。日本が課題とするこうした点を欧州ではどのように克服しようとしているのかの実例をお送りする。また、欧州で高く評価される日本の芸術・文化などのソフトパワーについてレポートする。