つまり、外国ではちょっとお目にかかれない「良き日本」と相対した気持ちがする。オリジナルのクッキーとともにいただくほうじ茶の味もまた、そのお膳立てにふさわしい格別な味だ。
お客さんはほとんどがフランス人
店長の丸山真紀さん「まるで日本の、ちょっといいお鮨屋さんにいるみたいな気分です」と、率直な感想を口にすると、それもそのはず、このカウンターは、日本でもおそらく高級料亭か一流の寿司店でなければ使われない、木曾檜の一枚板なのだと、真紀さんが説明してくれた。
「そもそも海外に店を出したいというのは、私の父(丸山海苔店の現社長)の長年の夢でした。『やるからには、本当に良いものを』という気持ちがありましたから、設計も隈研吾先生にお願いして、ここに使われている竹なども日本から運んで完成させました」
2年がかりの準備期間中、日本とパリとの間でコーディネートの役割を果たしたのは、真紀さん。20歳の時に交換留学生として来仏した経験が生きている。
「寿月堂」がオープンしてから1年になるが、そのことを尋ねれば、「非常に良い感触をつかみました」との答え。
お客さんはフランス人がほとんどで、既に常連さんも少なくないという。折しも、日本食はブームの域を超えて既に定着した感があるし、店の立地が良いことも手伝って、口コミやメディアを通じて広がったことは想像に難くない。
パリでは玉露がよく売れる
店内には、日本の専門店さながらの本格的な茶道具が並ぶ「不思議なんですけれども、日本とは違う売れ方をするんですよ。例えば、日本では玉露などはあまり売れないお茶ですが、パリでは玉露がよく売れます」
「『ギョクロをください』とはっきりとおっしゃる方もいますし、名前を覚えていなければ、『あのいちばん良いお茶はなんといいましたけっけ?』と。だから、玉露を入れるための道具一式を買う方もいらっしゃいます。どうやら、パリには、玉露愛好会というのがあるらしいですよ」
真紀さんの観察によれば、玉露を指名買いするのは、身なりのきちんとした男性が多いという傾向。もしかしたら、玉露はエグゼクティブなパリジャンたちの間で、密かなブームになっているのかもしれない。
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