「農村票」は、都市部の有権者からはいい印象を持たれない代表的な政治用語です。農家や農協が自分たちの既得権益を守る議員を当選させようとする投票行動が、農業、そして日本をダメにしているとする見方が一般的です。

 その農村票を語る人たちは、1つ気がついていないことがあります。それは、実際の農村票の力をよく見ていないことです。

総人口に占める農村票の割合。(A)が11%以上の都道府県(平成22年国勢調査、農業センサスより作成)

 農村票の定義そのものが明確ではありませんから、こんなものではないかと統計を基に計算してみました。

 右の表をご覧ください。

 まず、地域の人口に占める農業人口の割合(A)を求め、次に「第2種兼業農家」(農業での収入が全収入の50%以下の農家。多くがサラリーマンで、農業は休日にやることが多い)の比率(B)を調べ、「A×(1-B)」として「農村票の実勢割合」を求めました。

 田舎で農業人口が多く、大都市圏で低いのは当然ですが、田舎での影響力は、実際にはかなりばらつきがあります。農村票が東京、神奈川、大阪あたりで無力なのは誰でも分かります。

 他の地域ではどれほどの影響があるのでしょうか。