15日のNY市場はリスク回避の雰囲気が強まり、ユーロを始めとした欧州通貨や資源国通貨が急落している。特にユーロドルは高値から300ポイント急落する場面も見られた。要因はギリシャ不安と景気減速懸念。二重の逆風に市場はリスク回避色を強めている。

ユーロ圏財務相会合ではギリシャ支援で合意はしたものの、ギリシャ債に対する民間関与の部分で意見が分かれ、合意が得られていない。民間のギリシャ債保有者にある程度の負担を強いる債務交換を主張しているドイツに対して、ECB、フランスは自発的に償還分を新発債に乗り換えてもらうロールオーバーを主張している。中東欧危機時の処理に用いられたウィーンイニシアティブに沿ったスキーム。債務交換は完全にデフォルト(債務不履行)に該当するが、ロールオーバーについては自発的ならば該当しないとの指摘もある。しかし、格付け会社フィッチ・レーティングスはロールオーバーでもデフォルトに該当すると言及。ギリシャ問題に対する不透明感が一層強まっている。

更に、この日発表になった米製造業の景況感や生産指標が弱い内容となったことで景気減速への懸念も強い。一方で米消費者物価は予想を上回るなど、インフレと景気減速への懸念が混在する内容となった。

その他、ギリシャの国内情勢の混迷も、それに輪をかけたように思われる。緊縮財政に抗議して大規模なデモやストライキが実施されている。また、政局も不安定で、パパンドレウ首相は財政再建のため、野党との大連立を模索し、野党側に大連立が合意できれば首相を辞任してもよいとまで伝えた。ただ、調整は失敗に終わり、首相は内閣改造を実施、新たな政府に対する信任投票を求める結果となった。どこかの国と類似!

ユーロドルは1.41台に下落し、円相場もユーロ円は114円台まで下落している。豪ドル、ポンドも同様の動き。一方、ドル円は相対的なドル買いが勝り、81円台に逆行高している。

(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)