日本企業を圧倒し続ける韓国のサムスングループだが、サムスン電子など比較にならない利益率を上げるグループ企業がある。

 利益率はなんと60%を超え、ほとんどを配当金で吐き出す超孝行子会社でもある。巨額の配当金は、韓国のメディア産業の勢力図も塗り替えようとしているという。

グループ内でも収益力で群を抜くモンスター企業

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日本企業を圧倒し続けるサムスングループ。その中でもサムスンコーニング精密素材は圧倒的な収益力を誇る〔AFPBB News

 このグループ会社は、サムスンコーニング精密素材。昨年5月までの旧社名はサムスンコーニング精密ガラスといった。米ガラス大手のコーニングが49.4%、サムスン電子が42.6%を出資しており、液晶パネル向けガラス基板などを生産している。

 液晶パネルの世界市場ではここ数年サムスン電子が世界シェア1位を占めており、この会社の業容も急拡大してきた。

 それにしても、業績はすごい。2010年の売上高は5兆6519億ウォン(1円=13ウォン)、営業利益は3兆5805億ウォン、純利益も3兆2942億ウォンだった。売上高に占める営業利益の比率は63%を超えるモンスター企業なのである。

 サムスンコーニング精密素材は、50社近いサムスン電子の非上場関連会社の中でも圧倒的な収益力だ。サムスン電子と部品メーカーであるサムスン電機が共同出資で設立したサムスンLEDも優良企業として知られるが、同社の2010年決算は売上高が1兆3177億ウォンで営業利益率は17%。その差は歴然としている。

 それにしても、部材を供給するグループ企業がこれほどまでの利益率を上げているのは、なぜなのか。最大の理由は、液晶パネル向けガラス基板という中核部材を供給できるメーカーが世界でも少なく、典型的な寡占市場になっているためだ。

高配当の裏には合弁相手の米コーニングへの配慮も

 液晶パネル向けガラス基板の世界市場の勢力図を見ると、コーニング(サムスングループとの合弁会社を含む)が50%近くのシェアを握り、残りの市場を旭硝子と日本電気硝子の日本2社が分け合う構造だ。3社間にもちろん競争はあるが、ここ数年は需要が爆発的に伸び、供給メーカーが価格交渉などで優位に立っていたようだ。

 さらに、サムスングループと米コーニングとの深く長い関係も背景にあるようだ。サムスン電子がテレビ事業に進出した後、ブラウン管向けガラス素材を供給する合弁会社を設立している。コーニングの協力でサムスングループは、テレビ、ブラウン管の両方の事業で世界のメジャー企業に成長することができた。「サムスングループ内に、できるだけコーニングに配慮したいという雰囲気がある」という声もある。

 もちろん、大株主であるコーニングもサムスン電子も巨額の配当金を得ているが、何とこの会社には1人だけ個人の大株主もいるのだ。