グルーポンが株式上場を申請、最大600億円強を調達へ

クーポン共同購入サイトのグルーポン〔AFPBB News

 6月2日にIPO(新規株式公開)を申請したクーポン共同購入サイトの米グルーポンについて、米投資情報誌のバロンズがさっそく厳しい分析を行っている。

 グルーポンは米証券取引委員会(SEC)に提出した書類で最大7億5000万ドルを調達すると記したが、同社の企業価値は200億ドル以上とも言われ、調達額は10億ドルになるとも見られている。

 バロンズは、グルーポンがこのような企業価値で評価されることの可能性は否定していないが、同社が上場後にその株価を維持するのは難しく、恐らく大きな失望を招くだろうと結論づけている。

コストの増加率が売上高の伸び率を上回る

 同誌が問題視しているのは、グルーポンが示した想定経営実績だ。それによると、グルーポンの2011年1~3月売上高は約6億4500万ドルで1年前に比べて約15倍に増えている。これに対し利益は8200万ドルで1年前のほぼ7倍、粗利益率は13%だ。

 しかしここでグルーポンが示している利益とは、一時的な損失などを差し引かないプロフォーマ利益のことで、これは同社の実態を表していないとバロンズは指摘している。グルーポンは同四半期に1億4600万ドルの赤字を出しているからだ。

 バロンズはこれについて、新規顧客獲得にかかる費用が膨らんでいることが原因と指摘。そのコストは1億8000万ドルと1年前から45倍に増えており、このコストの増加率が売上高の伸び率を上回っていることが問題だとしている。

 バロンズによると、グルーポンはコストが一時的なもので、上場後の継続的な業績状況を正確に把握するためには、その影響を取り除いた数値を見てもらうのが適切と説明している。

 つまり、グルーポンはある程度まで投資を行ったらその後はコストを削減する。そして獲得した顧客基盤(売り手と買い手)をベースに次第に利益を上げられると見込んでいるのだ。

「短期間のうちに株価維持できなくなる」と指摘

 これに対しバロンズは、「グルーポンはまだサービス開始から2年半という若い企業で、その根拠を説明するための実績や歴史が乏しい」としている。例えばグルーポンが公表した書類の中で欠けているのが、売り手と買い手の増減実績という。

 グルーポンは、今年3月末時点で登録ユーザー数が8300万人になり、参加店舗の数は5万7000件になったという数値だけを公表している。