復帰支援策は、復職後のイメージを職場全員で共有

 特筆すべきは、産育休者向け復帰支援策「アモーレサポート」だ。こちらは「上司のための産育休者対応マニュアル」「産育休取得者面談」など本人のみならず職場メンバー全員の働きやすい環境づくりを支援するものだ。

 上司のための産育休者対応マニュアルはそれぞれのステータスごとに所属長が対応しなければならない申請の内容や職場環境の整備について解説したもの。「産休育休面談シート」には、不安なことや、復職後の自分のありたい姿のイメージなど当事者が書き込む欄があり、上司と話し合う資料にする。

 例えば、「どういった支援があればよいか」といったことについても話せる時間を設ける。子供が突然、熱を出したり、けがをした時に「子供のところに飛んでいきたい」「仕事もしなければならない」「周りに迷惑をかけたくない」など悩み、仕事を辞めた方がいいのかもしれないと思うこともあるだろう。そうした時のことを考え、上司との面談では、家庭でどの程度のフォローができるか、周囲の協力は仰げるか、外部に委託できるかなど、具体的にバックアップ体制がどれだけとれるかを一緒に考えていく。
 さらに、そうした時に必要なのは何と言っても職場の周囲とのコミュニケーションだ。コミュニケーションをとりやすくするために、自分の状況を可能な限り開示することを勧める。突然、仕事を抜けても困らないように自分の仕事を見える化して共有する。「残業できるのは何曜日で、どうしても早く退社しなければならないのは何曜日といった、時間のやりくりなどを周りが把握できていれば解決できることも多い」(人事部人材開発グループ 村中綾子主任)と言う。

人事部人材開発グループの村中綾子主任

 昨年度、人事部が作成した「人材育成の教科書~ダイバーシティ&インクルージョン編~」はワークライフバランスがテーマの一つだ。そこでも、自分の状況を可能な限り開示することが良いコミュニケーション関係を築くとうたっている。