* 本コンテンツは以下講演の【講演動画】と【全文採録記事】で構成しています *
第5回 ファイナンス・イノベーション
特別講演2「DXの活用でKDDIが目指す、『会計業務改革』と『コーポレートシェアードサービス』について」
開催日:2023年5月22日(月)
主催:JBpress/Japan Innovation Review
2022年に「KDDI VISION 2030」と「中期経営戦略」を策定し、5Gを中核に据えた「サテライトグロース戦略」のもと、事業変革に取り組んでいるKDDI。新中期経営戦略で重要課題(マテリアリティ)に掲げる6つのうち、コーポレート業務としては、特に「ガバナンス強化によるグループ経営基盤強化」「人材ファースト企業への変革」の2つを目標としているといいます。
「リスクマネジメント体制の強化として、シェアードサービスの活用やモニタリング体制の確立、データドリブンによる不備不正の検知などを進めています」と紹介するのは、同社のコーポレート統括本部 コーポレートシェアード本部 副本部長である和久貴志氏です。
講演の前半において和久氏は、自身が副本部長を務める「コーポレートシェアード本部」設立の経緯について解説。改革の夜明けの時期であった2016年、KDDIは自社の業務に合わせたオンプレミスの会計システムを作っていたものの、国際競争力に追いつかず、手作業が増えてしまったと振り返ります。その後、KDDI単体の会計システム刷新のプロジェクトを開始。試行錯誤を重ねた後、2022年度にはグループ全体のコーポレート・オペレーションの安定運用や高度化、ガバナンス機能の強化を実現するための組織としてコーポレートシェアード本部が誕生したといいます。
こうした流れの中、経理業務の集約化が進んでいくことで、かつては子会社であるKDDIエボルバが担っていた経理シェアード業務についても業務が再整理され「センター化」されることとなり、リソースの集中化・効率化・高機能化・ガバナンス強化が目指せるようになったと和久氏。同社が近年行った業務効率化の取り組みとしては、小規模会社への会計freeeの導入などが挙げられています。
また、KDDI本体の新システム導入効果により人的リソースを再配置させて、「DX推進部」を設立。DXの取り組みとして、BIツール「Domo」の導入、OCR機能やPythonを用いたAI活用の事例が紹介されます。
コーポレートシェアードが目指すのは各グループ会社と本体の成長支援であり、「デジタルをフル活用してインテリジェントオペレーションを推進したい」と語る和久氏。本講演では、失敗事例も交えた貴重な体験談とともに、KDDIの業務効率化とガバナンス強化の取り組み、目指す姿が語られます。
【TOPICS】
- グループ経営基盤強化と人材ファースト企業への変革を目指して
- ライフ・ライン・チャートで見るKDDIの改革
- KDDIグループの会計業務における課題
- 経理シェアードサービスセンター(SSC)が目指す姿
- 経理業務の集約化への歩み(3層モデルによる推進/会計freee導入の取り組み事例と課題)
- 会計部門に立ち上げた「DX推進組織」
- 会計業務のDXの具体策(BIツール・AI-OCRの活用)
- 連結ガバナンスの4つの機能とガバナンス強化の取り組み
- シェアードサービスの拡充と今後のコーポレートシェアード