エレベーター・エスカレーター専業メーカーのフジテックでCIO(最高情報責任者)を務める友岡賢二氏は、同社でIT部門主導によるDXを推進してきた。“武闘派CIO”を自称するITリーダーが、「まずは新しいツールを使ってみる」「社員に成功体験をしてもらう」などの緻密な戦術を語る。(インタビュー/指田昌夫、文/漆原次郎)

自社の強みを見極めて「変えない」ことも決断する

――2014年にフジテック入社し、変革を進めてきました。

友岡 賢二/フジテック 専務執行役員 デジタルイノベーション本部長(CIO/CDO)

早稲田大学商学部を卒業後、松下電器産業(現パナソニック)に入社。独英米に計12年間駐在。ファーストリテイリング業務情報システム部部長を経て、2014年フジテック入社。日本で職業としての最高情報責任者(CIO)を確立すべく、「武闘派CIO」を名乗ってメディア取材を受ける。
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好きな言葉:「一隅を照らす」(最澄の言葉)
注目の人物:クラウドネイティブ 代表取締役 齊藤 愼仁氏
お薦めの書籍:『デザイン思考が世界を変える』(ティム・ブラウン著・千葉敏生訳、早川書房刊)

友岡賢二氏(以下敬称略) 変革というと、変えることに目が行きがちです。しかし、組織の強みを理解し、変えるところと変えないところを見極めることが最も重要です。

 フジテックに入社して、私がこの会社の強みだと感じたのは、昇降機の専業メーカーという点です。当社はエレベーターやエスカレーターといった種別こそあれ、昇降機という単一事業の企業です。そのため、複数のドメインを持つ企業に比べると、事業に資源を集中できる強みがあります。

 システムを内製している点も強みだと、すぐに確信しました。昇降機ビジネスの特殊性に合っているからです。当社のお客さまは、例えば、建物の据付まではデベロッパーで、据付後はビル管理者に代わったりします。また、建物ごとに取引事情が異なります。そのため大量生産モデルはそぐわない。こうした特殊性から内製のほうが向いています。そこを無理にグローバルスタンダードのERPなどに変えるのはやめて、内製の基幹システムを残すと決断しました。