2022年、プライム・スタンダード・グロースに市場再編を行った東京証券取引所(以下、東証)。翌2023年には、プライム市場やスタンダード市場に上場する企業に対して、資本コストや株価を意識した経営への取り組みならびに開示を要請。さらにJPXグループのJPX総研では、世界でも類を見ない新たなインデックスを設計するなど、積極的な動きが目立つ。これらにはどのような背景や意図があるのか。東証のトップの岩永守幸氏に聞いた。
企業の価値が正しく評価され、向上していくための土台や環境を整備
「株式を売買する市場」「上場基準に適している企業かどうか審査や調査をするところ」。それらが、東証の名を聞いて、多くの人が持つイメージではないだろうか。もちろん、これらの業務も行っている。ただ東証の存在意義やミッション、本質はもっと壮大であり、シンプルだ。岩永氏は次のように語る。
「投資対象である上場会社の株式の価値が正しく評価され、価値が向上していくための土台や環境を整備する。これが、私たちのミッションです。付け加えるとすれば、日本企業ならびに日本のマーケットが中長期的に成長することで、国内だけではなく、海外の投資家から今以上に注目されるような環境の整備や構築です」
そもそも岩永氏が新卒で東証に入社した理由も、日本のためになる仕事がしたかったからだという。実際に、バックオフィス業務から経営企画、世界でも類を見ないメソドロジー(方法)を採用したインデックスの設計など、ミッションを実現するために、さまざまな業務に携わってきた。
そしてその東証は今、改革に向けた取り組みを矢継ぎ早に打ち出している。