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 アップルのスティーブ・ジョブズ、LCC(格安航空会社)の先駆けとされるサウスウエスト航空の創業者など、社会を巻き込むリーダーは、なぜ「WHY(理念と大義)」から物事を思考するのか。『WHYから始めよ![改訂版]』(サイモン・シネック著/日本経済新聞出版)から一部を抜粋・再構成。社会に変革を起こす「本物のリーダー」に求められる考え方と行動について考える。

 アップルのファンには、他社の倍近い金額を払ってMacを買う人もいる。それでも選ばれ続ける理由とは?

これは生物学だ

WHYから始めよ![改訂版]』(日本経済新聞出版)

■ 目には見えない大切なこと

「白いものはより白く、明るいものはより明るく」と、新しい洗濯洗剤のテレビCMが宣伝する。洗濯洗剤業界は長年、こうした価値観を利用してきた。もちろん、妥当な戦略のはずだった。消費者は洗濯洗剤にそうした効能を望んでいると、市場調査が明らかにしたのだから。たしかに、そのデータは事実だった。が、人々が本当に望んでいるものは違った。

 洗濯洗剤のメーカー各社は、なにを洗剤に求めていますかと、消費者に尋ねた。つまりWHATを尋ねたのだ。すると消費者は、白いものがより白く、明るいものがより明るくなること、と答えた。べつに大した意見ではない。だって洗濯をする人は、洗剤を使用することで衣類が清潔になるだけでなく、このうえなく清潔になることを望んでいるのだから。

 そこでメーカー各社は、白いものをより白く、明るいものをより明るくするべく、他社よりも効果がある添加剤を洗剤に加えはじめた。ある製品には、タンパク質が加えられた。別の製品には、色を鮮やかに見せる添加剤が加えられた。しかしそれから何年もたってから、パッケージ商品会社に調査を依頼された文化人類学者が、いくら洗剤に添加剤を加えたところで、消費者が購入という行動を起こすわけではないことを明らかにした。