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「トヨタ生産方式」や「カイゼン」といったトヨタ式の経営手法を導入しようとする企業は多い。だが、変革を実現するには「型」を真似るのではなく、本質を理解する必要がある。『最強トヨタの最高の教え方』(山本大平著/クロスメディア・パブリッシング)から一部を抜粋・再編集。トヨタ出身の戦略コンサルタントが同社での経験を基に、変革をもたらす人材育成の要諦を説く。

 仕事ができる人に共通する「健全な懐疑心」と、その実践につながる2つの思考ツールとは?

成果が出ない人ほど「疑う」ことをしない

最強トヨタの最高の教え方』(クロスメディア・パブリッシング)

 私がコンサルティングの現場で、多くのビジネスパーソンと接する中で気づいた1つの法則があります。それは、仕事の成果が出ない人ほど「疑う」ことをしないということです。

 彼らは、上司からの指示や会社の方針、あるいは業界の常識・慣習といったものを、何の疑問も抱かずに鵜呑みにしてしまいます。

「そういうものだから」、「昔からこう決まっているから」と考えて思考を停止させ、ただ言われたことを言われた通りにこなすだけです。こうした姿勢こそが、彼らを永遠に「その他大勢」の代替可能な「作業者」の地位に留めてしまうのです。

 一方で、傑出した成果を出す、いわゆる「仕事ができる人」は、例外なく健全な「懐疑心」を持っています。彼らは、つねに現状に対して「本当にこれがベストなのだろうか?」と問いを立て続けます。

 彼らは、誰もが「常識」だと信じていることの中から非効率や矛盾を見つけ出し、それをよりいい方向に変えていこうとする強い意志を持っています。

 この「疑う力」こそが、凡人と非凡な人を分ける決定的な境界線であると私は考えています。