友廣 富士通に限らず、営業担当者が顧客自身よりも顧客企業のことを詳しく把握しているケースは少なくありません。これは人材流動性が低いために起こる現象です。
多くの企業では、そうした営業担当者を交代させることはリスクだと捉えがちですが、実際には「その人を交代できない」「その人しか知らない」ことの方が重大なリスクではないでしょうか。情報がブラックボックス化し、命運をその人に委ねているようなものですよね。
企業として本来あるべき姿は、その担当者がいなくなっても、同じサービスレベルを維持、提供できることです。それが本当の企業価値だと思います。そのためにも、必要な情報を誰でも取得できるように「見える化」「言語化」し、「ストア化」しておく必要があります。これができていない状態では、デジタル化とは言えません。
誰がアプローチしても同じレベルのサービスを提供できる――そのような企業価値を提供するためにも、デジタル化の推進は不可欠と言えるでしょう。
――営業のデジタル化の必要性は感じていても、属人化という壁をなかなか超えられない企業も少なくありません。壁を乗り越えるには、どのような方法がありますか。
友廣 私たちの場合は、「デジタルを使わないと業務が進まない」という状況を意図的につくるようにしました。
例えば、デジタルセールスチームがアプローチした案件について営業とコミュニケーションを取る際、営業側からは「Excelで情報が欲しい」と言われるのですが、「CRMに記録したので、そちらを確認してください」と伝えるようにしています。
もちろん、CRMが全てではありませんが、デジタルを介さないと情報が見えないという必然性をつくることが、打開策の1つになったかと思います。
後編「富士通式『THE MODEL』が照らす営業DXのその先 5年後、10年後、BtoBセールス・マーケティングはどうなる?」に続く






