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 かつて世界第2位の経済大国だった日本が、名目GDPで中国、ドイツに抜かれた。中小企業の割合など共通点が多いドイツと日本だが、なぜこれほどの差がついたのか。10年以上にわたるドイツ現地取材をまとめた『高く売れるものだけ作るドイツ人、いいものを安く売ってしまう日本人』(岩本晃一著/朝日新聞出版)から、一部を抜粋・再編集。

「輸出入額」「貿易収支」といったデータを読み解き、日本が失い、ドイツが手にした経済成長の構造を分析する。

データで見る日独の明らかな違い

■ 先進国で一人負けの日本│GDP比較

 まず、日本とドイツのマクロ・ミクロの経済パフォーマンスを比較することで、同じものづくりの国でありながら日本とドイツはどこが違うのか、明らかにしていこう。

 両国の経済活動の結果、表れてくる各種データを比べてみるだけで、同じものづくりの国とは言っても、日本とドイツの産業構造・産業組織が大きく異なっていることに気づくだろう。

 以下に掲げる数字は、1995年を起点としている。なぜなら、日本の「失われた30年」は1995年を起点として発生しているからだ。1995年はインターネット元年とも言われている。

 日本の名目GDP(IMF統計)を見ると、1995年が5兆5460億ドル、2023年が4兆2130億ドルとなっていて、28年間で、マイナス24%となっている。1995年以降、多少の高低はあるものの、ほぼ一定水準を維持してきたが、最近、円安の影響で、ドルベースに換算した数字が低下している。

 一方、ドイツの名目GDP(IMF統計)は、1995年が2兆5950億ドル、2023年が4兆5270億ドルとなっていて、28年間で、プラス74.4%となっている。1995年以降、多少の変動はあっても、着実に増え続けている。

 そして28年前に日本の47%しかなかったドイツの名目GDPが、その28年後、日本に追いつき追い抜いたのである。

 では、他の国々はどうなっているのだろうか。