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完全な経営戦略論は存在しない。20世紀初頭に生まれた「原形」は、環境変化に応じて改良・派生を繰り返してきた。本稿では『経営戦略全史〔完全版〕』(三谷宏治著/日経BP 日本経済新聞出版)から内容の一部を抜粋・再編集。企業がいかに理論を磨き、生存競争に勝ち抜いてきたかを振り返る。
闇夜をドライブするように、予測が極めて難しい今の時代、課題を解決しながら前進するには、どんな戦略が有効なのか?
ワッツの一撃 歴史に答えを学ぶな!
『経営戦略全史〔完全版〕』(日経BP 日本経済新聞出版)
■ 自己奉仕バイアス――ヒトは自分に甘い
言うまでもなく、ヒトは自分に甘い生き物です。
成功は自分のお陰と思い、失敗は他人もしくは環境のせいと感じます。これも、自己の自尊感情を守るためには、仕方ないことかもしれません。この困難な時代に、失敗を全部「自分のせいだ」と引き受けていては精神的に保ちません。
特に日本人の場合には、集団になったときにこれが強く働きます。集団奉仕バイアスです。自分の帰属する集団に強く愛着を持ち、ゆえにそれへの評価は甘くなります。自社の新商品が成功すればそれは自社が優れていたからだと思い、失敗すれば競合他社や流通・顧客・円高などの環境のせいだと思います。
こういったことが相まって起こることがあります。それは自己(もしくは自社)の過大評価です。自分のたったひとつの成功に、非常に強く縛られることになるのです。







