「新卒でなければ入社できない」「新卒採用占有率100%」と言われた日本航空(以下、JAL)が、人事施策を大きく転換し、新卒中心からキャリア採用を重視した採用形態にシフト。2024年にはキャリア採用比率が50%にも上昇した。思い切った採用改革に挑んだJALの狙いはどこにあるのか。人事部採用グループグループ長の高橋且泰氏に聞いた。

※本稿は、Japan Innovation Review主催の「第5回 採用改革フォーラム」における「特別講演:従来型の「待ちの採用」から、一緒に働く仲間を探しにいく「プロアクティブな採用」へ/高橋且泰氏」(2025年6月に配信)をもとに制作しています。

新卒採用中心、占有比率が100%の年もあったJAL

 JALは、学生の就職市場で「憧れの企業」としてトップクラスの人気を集めてきた。また、「高難易度・高倍率の新卒採用試験を勝ち抜いた社員が長く勤務する」という採用形態が、同社の人事施策の根幹を支えてきた。

 実際、2023年の東洋経済オンラインの記事※では、「新卒でないと入りにくいが、勤続年は長い128社」というランキングで、同社が1位となったことが紹介されている

 この記事では、『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』2023年版掲載のデータを使い、2021年度の中途採用者数の合計に対して、新卒採用者が占める割合「新卒採用占有率」を算出している。JALにおいては、この新卒採用占有率が100%になったという。

「もちろん、当社はキャリア採用も行ってきました。2021年度の100%という数値は、コロナ禍でキャリア採用を中止した影響によるものです。しかし、当時は新卒中心のいわゆる『待ちの採用』に偏っていたことも事実です」(高橋氏)

 こう振り返るのは、日本航空人事部採用グループ グループ長の高橋且泰氏だ。実は、この記事が言及した2021年以降、同社はキャリア採用を重視する方向にかじを切った。2024年には、キャリア採用比率を50%にまで向上させている。

 JALグループはなぜ、新卒中心からキャリア採用重視へと採用改革に取り組んだのか。「待ちの採用」から、自ら人材を獲得する「プロアクティブ(先を見越す、事前に行動する)な採用」へと転換させつつある採用改革について語った講演の骨子をお届けする。