写真:Japan Innovation Review編集部
国内市場の飽和や縮小を受け、海外進出する企業が増えている。だが、もちろんそれだけで活路が開けるわけではない。世界で売るためのポイントは何か。本連載では、国内外で調味料「クックドゥ」などの事業拡大を牽引した元・味の素マーケターの中島広数氏が、グローバルマーケティングの要諦を実務視点から解き明かした『グローバルで通用する「日本式」マーケティング 元・味の素マーケティングマネージャー直伝の仕事術』(中島広数著/日本能率協会マネジメントセンター)の内容の一部を抜粋・再編集。
今回は、定番商品のリブランディングに成功した背景を5の観点から整理する。
白紙になってものを見ろ
これには大きな反対がありました。
『クックドゥ』と言えば「中華」という戦略を長年継続してきたこともあり、社内では、もし和風に『クックドゥ』と付けて失敗したら、ブランド価値を毀損し、売上は大幅減になり、「末代まで名を残す愚将になるぞ」とまで言われてしまいました。
さすがに多少は凹みますが、すでに心に火がついた私は「本当にそうなのか?」と思い、過去から実施されている定量ブランド調査の結果をもう一度読み返すことにしました。
よく見ると、ユーザー・ノンユーザー含めて『クックドゥ』に対して抱く純粋想起イメージは、「簡単」、「おいしい」、「本格」、「手軽」という順番になっており、「中華」のイメージもあるものの、それよりも「簡単に本格的なものがおいしくつくれる」というイメージが強いことが分かりました。
それだけでは疑心暗鬼の周囲を説得することはできないと思った私は、日常的に『クックドゥ』を使っているヘビーユーザーやミドルユーザーを集めたグループインタビューを実施することにしました。社内で何か言われるのはともかく、『クックドゥ』を使っている人たちをがっかりさせてはいけないという想いからです。






